弁理士試験の内容と実務はぜんぜん違う件について
こんにちは。
実務経験がないまま、弁理士試験を合格される方もいますよね。そんな方は、初めて弁理士の実務に携わったとき、あまりの試験との違いに驚かれるのではないでしょうか?
私は、新卒で特許事務所に入り、初めは特許・商標事務を担当。その後、特許明細書や商標の実務も経験し、ひと通りの仕事に触れたことがあります。その経験から感じたことを基に、試験と実務の違いについて、ちょっと触れてみたいと思います。
◎目次
1. 試験で問われる法律知識は実務に使うのか
はっきり言います。ほぼ、そんなのかんけーねー!(←古い。。)だと思います。特に、特許明細書の作成という実務においては、ほぼ法律知識を知らなくても大丈夫だと思います。商標は、知っておいた方がいいこともありますが、「慣れ」をしめる部分が大きいと思います。
特許については、いかに技術について詳しく理解し、それを分かりやすく文章に書き起せるか、が大切なので、なんというか職人のように感じるときがあります。
商標については、類似の商標がないかなどの調査も、慣れやあるテクニックが必要で長年の経験がある商標事務の方の方が、よっぽど詳しかったりします。
弁理士試験を経て法律に興味が出た方は、特許事務所で実務に携わると、ちょっとイメージと違い、びっくりされるかもしれませんね。
法律が好きなのであれば、企業の法務部の知財担当を考えるのも一つかもしれません。ちなみに、私はこれが合っていました。
2. 法律知識を学ぶのはなぜか
では、なぜ法律知識を学ぶのか、個人的に考えてみました。
特許や商標は、とにかく期限が絶対です。期限が過ぎたらもう手の施しようがありません。大切な権利が失われてしまいます。とにかく、どんな手続きが必要で、いつまでに何をしなければならないのか、これを知っておくことが絶対的に大切です。
知財業界にいる方の中には、仕事病的に、期限が気になってたまらない人も多いのではないでしょうか?
3. 試験の内容が本当に必要なのはだれ
事務所にいると、期限管理は特許事務の方がやって下さり、声をかけてくれると思います。特許明細書や商標実務に集中している方としては、これは大変ありがたいことです。
つまり、期限を管理する者にとって、試験の内容はとても有益なものであり、事務の方に仕事を指示する方、つまり事務所の所長弁理士や事務を指導する立場にある弁理士に、試験の内容(法律知識)が必要になってくると思うのです。
私は、事務員時代から試験勉強を始めたのですが、特許庁へのいつアクションが必要になるのか、という全体の流れなど、実務と試験がリンクする部分があって、とても面白く感じました。
4. 弁理士試験対策にちょっとお役立ち情報
上で書いた通り、特許事務や商標事務のお仕事と、試験内容(法律知識)はリンクする部分が大いにあります。
当時、特許明細書の担当者で弁理士試験の勉強をされていた男性が、私の所に来て、拒絶理由通知書への対応や特許料の納付など、どうやって期限管理してどう手続きしているのか、見せてほしいと言って来たことがありました。
条文を見て勉強しているだけではイメージがわかないから、ということでした。確かに、実務の担当者は特許料を納付したりしませんものね。試験ではよく出るのに。
もしも、勉強中にイメージが掴めないものがあったら、事務の方に見せてもらったり教えてもらうのも手かもしれませんね。ただ、仕事のじゃま!っと怒られない程度がいいかと思います(笑)
5. 最後に
弁理士試験の内容と実務はぜんぜん違う、というお話をしました。だからといって、試験に意味がない、と言いたいわけではありません。
やはり、弁理士が最新の法律知識を知っていることによって、クライアントとの打ち合わせで、手続き面や期限管理について有益なアドバイスをすることができたりします。
私が企業で知財担当をしていたときも、明細書のことだけでなく、外国の期限延長の相談や、この案件にはどういった法律的手続きが取れるかなど、相談することがありました。
そんなとき、さっと答えて下さる弁理士には安心感を感じ、また仕事を頼みたいと思いました。ですので、試験の内容にでるような法律知識は、持っておくことは大切だと思います。
それではまた!